このお題を見たとき、まず思いついたのは鳥だった。
空を自由に飛べる鳥は、地上を這うことしかできない人間よりも多くのものを目にしているだろうから。
でもわたしは高所恐怖症で。鳥になればそれが治るのかも分からない。
それに空からの景色ならば飛行機に乗ればいつでも見れる。
ならばもっと、いまは見れない世界を見たい、そう思った。
結論からいうと、わたしは「4色型色覚をもつ人間」になりたい。
彼女らはわたしたち3色型色覚をもつ人間には見ることのできない世界を知っている。
その世界を1日でもいいから見てみたい。
たとえば、3色型色覚をもつ人間から見た海は青一色だが、4色型色覚をもつ人間が見る海は青だけではない。黒や茶色、黄色や緑、いろんな色が混ざっているのだそうだ。
彼女らは微妙な色の差も正確に読み取ることができる。
わたしたちとはまったく別の世界に生きているのだ。
きっと色鮮やかな世界で生きているに違いない、そう思うと羨ましくてしかたがない。
しかし、それはいいことばかりではないかもしれない。
わたしには想像することしかできないけれど、左利きの人間には右利き用のハサミが使いづらいように、彼女らには彼女らの悩みがあるのだろう。
ほかの人と見える色が違うのだから、見ている世界が違うのだから、きっとその苦労は絶えないのだと思う。
だからこそ1日限定であるならば、「4色型色覚をもつ人間」になりたいと思ったのだ。